プロジェクト概要
国土交通省 関東整備局 東京国道事務所管轄の橋梁補修維持工事
期間:
2020年11月~2024年4月
メンバー:
昭和島事業所職員、協力会社の作業員、国土交通省担当者
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H.N(以下Nさん)道路関連事業本部 昭和島事業所 副所長 -
A.K(以下Kさん)道路関連事業本部 昭和島事業所
プロジェクトの詳細をお願いします。
【Nさん】国土交通省の関東地方整備局に所属する東京国道事務所には品川、亀有、万世橋、代々木の4つの出張所があり、東京23区内の国道の整備・管理を行っていますが、管轄内の橋梁では老朽化や物流の需要が高まったことによる損傷の増加が確認されています。そのため、代々木・万世橋出張所管轄と品川・亀有出張所管轄でそれぞれ橋梁補修案件が公示され、私たちは入札に参加しこれらの案件を受注し、維持補修工事を行うことになりました。
当初は代々木・万世橋出張所管轄、品川・亀有出張所管轄の橋梁補修案件を受注し、2年目以降は代々木・万世橋管轄の案件を継続受注できました。2024年4月頃、受注から3年ほど経ち軌道に乗り、業務も安定してきたと感じます。
プロジェクトがスタートした背景について教えてください。
【Nさん】私たちが所属する昭和島事業所はもともと首都高速道路のメンテナンス工事を行っており、その経験を活かせるような案件を手掛けたいと常々思っていました。関西圏や名古屋、仙台等の事業所ではメンテナンス工事を受注していますが、関東圏では清掃をはじめとする維持作業が中心で、維持工事は主力ではありませんでした。いつかぜひやりたいと思っていたところ橋梁のメンナンス工事を一元化して行う案件が公示されたため、入札に参加し受注するに至りました。

実際の業務内容は?
【Nさん】入札に参加するにあたり、積算ソフトを使用して見積もりを出したり、必要書類を作成する等の準備を行いました。
現在は副所長として総括的な管理を担当していますが、受注したばかりの頃は事業所として他の案件も抱えていたため、私自身も現場代理人兼監理技術者として協力会社の作業員に指示を出し、現場を管理していました。業務内容は、点検業者が点検し、設計業者が補修設計をしたものが当社に届き、対象橋梁を決め、工程を組み、工事を行うというものでした。
【Kさん】私は工事がすでに進行している段階で途中参加することになりました。
当初は現場担当として現場の管理を任せていただき、翌年から現場代理人をさせていただいています。現場代理人になったことで、書類作成や発注者である国土交通省の方との折衝等も、先輩社員や上司からアドバイスをいただきながら担当するようになりました。代々木出張所と万世橋出張所の管轄で補修の必要がある橋梁は60カ所以上あります。現在、本案件は事業所全体で取り組んでおり、代々木出張所管轄を担当する者と、万世橋出張所管轄を担当する者に分かれて業務を行っています。
【Nさん】現場に足を運び管理する者以外にも、必要書類の作成に専念する者が2名ほどおります。
【Kさん】工事にあたり、警察や発注者との協議を担当する者もおります。特に、歩道橋のメンテナンスは小学生の通学路になっているなど安全対策を入念に行う必要がありました。
【Nさん】そういったメンバーは固定ではなく、状況に応じて臨機応変に対応しています。
【Nさん】また、橋梁補修と一言で言っても、予防保全を目的とした工事だけでなく、応急処置を目的にした工事もあります。ある橋梁では点検業者が橋梁点検を行っていると、緊急性が高い損傷が見つかり、連携して翌日に応急処置を行ったということもありました。
【Kさん】緊急性が高いため、すぐに補修工事を行ってほしいということではありましたが、材料等を揃えるのに時間を要するため、まずは応急処置をして、材料が揃い次第後日改めて補修工事を行うという流れでしたね。

プロジェクトにおいて苦労したことは何ですか?
【Nさん】本案件はピンポイントでの補修依頼ではなく、定められた工期の中、23区内の国道の橋梁という広範囲を点検・調査し、メンテナンスの必要性がある箇所を洗い出し、発注者に報告・協議し、緊急性が高いものを中心に計画を立てていく必要がありました。工期内に、契約時に定められた金額(請負額)に見合う範囲や内容の工事を実施しなければならないため、初年度は具体的なことが決まっていない状況の中で進めるということに苦労しました。次年度以降も同様に、どの橋梁から工事を行うかスケジュールを組んでいく必要があったため予定が後ろ倒しになったことから、年度終盤に工事が集中することになってしまい、工程管理や労務管理にとても苦労しました。当初はコロナ禍であったため、夜は人も車もほとんど通らず工事が始まってしまえばむしろやりやすかったっていう印象ですね。

今後の展望について教えてください。
【Nさん】本案件は、橋梁の長寿命化を図るため継続的に発注される工事ですが、競争入札のため他の受注者に代わってしまう可能性もあります。競争入札ではこれまでの工事実績が委託事業者を選定するうえでの評価要素の一つとなるので、今後も安定して受注できるよう現在行っている工事を着実に行っていきます。 また、受注当時に比べると若手~中堅の職員が増えてきているので、事業所全体で経験を積み、技術の底上げをしていくのが大事だと思ってます。

プロジェクトの経験を通じて得たことについてお聞かせください。
【Kさん】橋梁補修と一言で言っても、様々な損傷があり、損傷に対する補修方法も幅広くあります。工事を進めていく中で分からないことが出てきた時は、先輩や上司に聞き、ひとつずつ理解して、また次の分からないことを……と、自身でも応用力を身に付けながらコツコツと経験を重ねている状態です。今は小規模な補修工事が多いですが、より大規模なものにも今後挑戦していきたいと思っています。
【Nさん】本案件を受注するまで、歩道橋の補修工事はあまり経験がありませんでした。歩道橋は橋梁の一つではありますが、構造が全く異なり、初めて行うような工法もあったので色々学びがありました。 また、弊社はあまり大規模な工事の経験がなく、出来るものは現状まだ限られていますが、技術者も増えてきたのでより大規模な工事を受注出来たらなと思っております。